週刊釣りサンデー別冊《鴨谷計幸のカレイ指南》でおなじみの鴨谷師が言ってた言葉に「一潮、二エサ、三に腕」というのがあります。
好釣り場に入っての釣果の差について述べたのだと思います。
どんな良い釣り場にに入っても、潮が悪ければ話になりませんし、エサもその場所に適した活きのよいエサでなければ思うような釣果は得られません。
三番目の腕ですが、これはいろいろ考えさせられる問題ですが、私が一番大事だと思うのはせっかくの好時合いでも、仕掛けとエサが海の中に入っていないと釣れない・・・・・・。
つまり手返し早く、トラブルは少なく、一日釣りをしても、できるだけ陸の上に仕掛けを置く時間を少なくし、海の中に仕掛けを放り込んでおくということだと思います。
また腕の一つに、同じ海を眺めても、どこに魚が居つくかを見極めるのも、師の言うところの腕が左右する部分だと思います。
さてさて本題のエサですが、投げ釣りで使うエサはだいたい下の写真にあるムシです。
(写真は、いつもお世話になっている、広島大学大学院の斉藤英俊先生からいただいた、「西日本における釣り餌として流通される水生動物の現状」から引用させていただきました)
数あるムシ餌の中から、まずタイムシについて私見を述べてみます。
ある知り合いの釣り名人が、「そりゃぁ、タイを釣るにはタイムシが一番よ!ほおじゃろぉが~、カレイムシやキスムシとは聞いたことがなかろう、タイが食うけぇタイムシゆうんよ!!」とのこと。(注 九州南部ではイシゴカイのことをキスゴムシと呼ぶことがありますが)
確かに通常タイムシと呼んでいるのは、正式にはタイムシではなくアカムシです。
このタイムシくん、私が今まで食べた牛肉の中で一番高い、神戸牛のステーキよりも高いのです!
なんと100㌘6500円くらい・・・・・・・・、無粋なことを言うと「新鮮な天然ダイが何匹買えるやら・・・・・・・」。
それでもわざわざ一年に数回しかない潮回りの日に、眠い目をこすりながら夜釣りをするなら、ホンムシを2~300㌘持って行くよりは、タイムシだけで釣行することを、みんなに勧めてきました。
なぜならば、ホンムシはいろんなエサ取りに遭いやすいのですが、その点タイムシはエサ取りにはかなり強いからです。
それでも出合い頭もあるので、ホンムシでも釣れるだろう・・・・・・という人もいます。
先ほどの《腕》の項で「せっかくの好時合いでも、エサが海の中に入っていないと釣れない」を思い出してください。
潮回りによって、マダイが寄ってきた千載一遇のチャンスに、ホンムシだったがためにエサ取りに盗られていた・・・・・なんてことになりかねません。
その点、タイムシはかなりエサ取りに強いし、ハリに刺してもホンムシに比べてかなりの時間動き続けているのです。
このタイムシ、カレイやアイナメ、ベラなどにはあまり見向きはされないようです。
しかし、同じスズキ目のシロギスはタイムシに釣れることがあります。
そこで何年か前に、ストローくらいの細めのタイムシをしこたま持って、夜釣りの大ギス狙いに出かけたことがあります。
結果は・・・・・・・さっぱりでした(+_+)
やはり大ギスの夜釣りにはチロリやホンムシの細め、青ゴカイなどが適しているようです。
「カレイ釣りにはホンムシが無いと・・・・・・」という投げ釣りファンは多いと思います。
人間なら、目の前にある冷や飯と、5m先に旨そうな握りずしがある場合、どちらを先に食べるでしょうか?
カレイはどうでしょう?手前の石ゴカイには目もくれずに、5m先のホンムシを選ぶのでしょうか?
次はカレイとホンムシについて述べてみたいと思います。