「親譲りの無鉄砲で 子供の時から損ばかりしている・・・・・」
夏目漱石の小説、【ぼっちゃん】の書き出しです。
私の父は無鉄砲という点ではかなりのものでしたが、その血を受け継いだ私も、ぼっちゃんに負けず劣らずの無鉄砲で、例えば「引き返す」ということがあまりありません。
将棋の駒にたとえると【香車】のような性格で、戦国武士なら兜の前立てはトンボでしょうね・・・・・・。
GWは娘夫婦の帰省に合わせて、前半も後半も「海に行きたい!山に行きたい!」と言った、うずうずする気持ちを抑えて家にいました。
カミさんが、「連休に田舎に行けなかったので、金曜日の昼から出て土・日と田舎に行こう」というので、カミさん孝行にかこつけて、投げ竿と渓流竿と山歩き用の鎌や熊よけの鈴などすべての遊び道具を積み込んで♪♪出掛けました。
一日目の金曜日は朝から雨、「しめしめ、笹濁りの流れは渓流釣りには最適だ!」とうきうきしながら田舎に到着したが、もの凄い濁りようで水量も多く、早々と諦めモードに・・・・・(里川は、田んぼのしろかきや、田植えシーズンなので濁りやすいのです)。
カミさんの義姉の家で横になっていたが、どうもじっとしているのは性に合わない。
私はマグロのように泳ぎまわっていないと身が焼けてしまうのかもしれない・・・・。
雨は降ったり止んだりしていたが、西の空がやや明るさを取り戻したので、一人で山歩きに出掛ける事に・・・・。
(イカリソウの標準花の群落)
まだ蕾も小さなササゆりや、今を盛りとさいているイカリソウなど大好きな山野草の花を眺めながらあっちこちい走り回り、最後は芸北国際スキー場の一番上から続くジャリ道に入り込む。
道は誰も入る人がいないのか、段々草ぼうぼうになり車の腹をこする音が「シャリシャリ♪」と鳴り始める。
それでも、好奇心の塊の私はまだまだ続くその先を見てみたくて、深くえぐれた轍を避けては路肩や道の中央、少し高くなった草ぼうぼうの部分に左右のタイヤを合わせて蛇行運転を繰り返す。
山を下って行くにしたがって、段々空が狭くなってくる。
もう完全に引き返さなくてはいけない、通行不能状態の道にはなっているのですが、その先見たさに「行け行け!」の気持ちでハンドルを操り続ける。
いくら無鉄砲の私でも、少々不安になって引き返そうかな・・・・・と思ったころ、両サイドには苔むした石垣が積まれた、昔の棚田跡に植林された杉林が見え始めた。
「棚田跡があるということは、いくらか人里に近づいたのでは?」と。
それに小さいころ親父から聞いた、「山で迷ったら、見通しがいいからと言って、尾根に出てはいけない、藪になる確率は多いが、川沿いに下りろ、必ず人家のあるところにたどり着く」の言葉を思い出し、人里近しと前進を決める。
さらに行ったところに、今までで一番でこぼこ&じゅるじゅるになったぬかるみが・・・・。
「えい!ままよ」と乗り入れた瞬間、完全に前輪二つがじゅるじゅる道にはまってしまった!
車から降りたら、長靴の足の甲まで埋まるぬかるみ、「こりゃぁダメじゃ!」とすぐに観念した。
もちろん携帯は圏外・・・・・・・・。
熊除けの鈴に、やはり熊除けに持ち歩いている防犯ブザー、そして手にはイザという時のための打ち鎌を握って携帯のつながる場所まで歩くことに・・・・・・。
時間は16時45分、雨上がりの曇天に加え、山の日暮れは早い。
2~3kmは歩くようだろうかと山道を下ってみると、なんとなんと私の平生の行いがいいのか(?)300mくらい歩いたところにガードレールが見える!
道路に出て携帯を見ると、圏外になったりアンテナ2本立ったり。
しかしJAFに電話しようにも、「ここはどこ?私は誰?」状態。
電線を頼りに歩き、電信柱を見ると「ソラジョウ」と書いてある、どうやら北広島町橋山の空城のどこかに出たようだ。
JAFに電話すると「50分くらいで近くまで行き、そこからまた詳しい場所を確認します」とのこと。
ツツ鳥がすぐ近くの山で鳴きだすと、一段と寂しさを増してくる・・・・・・。
結果として、なかなかその場所がJAFの人に判らず、70分くらい掛かって到着。
JAFの4輪駆動も入れないようなぬかるみに加え、一ヶ所路肩が崩れて7~8mくらい離れた場所から牽引作業を開始し、10分くらい掛かってようやくあり地獄のような【ぬかるみ】を見事脱出!!
もう30~40分遅かったら、暗闇になるところでした・・・・・。
カミさんには叱られ、いつもならカミさんとぷりんを田舎に放りだして山陰に出掛けるのですが、今回は自粛せざるを得なくなり、残り二日間はカミさんの言うとおり、あっちこっちに連れまわされました。
(二日目に行った、八幡高原にある【山麓庵】の前でうれしそうに走り廻る愛犬ぷりん。)
この話を、親しい友人にメールしたら、「しかしながら、どうして小池さんのまわりには落ち?と言うか、そんなネタが転がっているのでしょうか?まさかブログネタに身体をはって・・・・なんてことはないでしょうね」と笑われました
さぁ、15日が締め切りの3600文字の原稿がまだ70%くらいしか出来ていない。
今夜と明日で仕上げなくては・・・・・。
田舎にいても原稿が打て、家に帰ってからPCに入れて作業ができるような、そんな手を考えなくてはいけない。
【サクラソウ】
八幡高原山麓庵横の売店で買って帰ったサクラソウに、もうカラスアゲハが蜜を吸いにやって来ています。