よく「今年は残暑が厳しいからカレイの接岸が遅れるのでは・・・・・」と質問されることがあります。
これなどは人間が暮らしている地上界の気温の話であって、海中のカレイはどう感じるているのでしょう・・・・・・。
文献によると、カレイは水深60~70mのところで暑い夏を越し、秋の訪れとともに産卵のために岸辺近くの水深の浅い場所にやって来る・・・・・・と言われています。
このことから考えると、地上は少々暑くても、水深60~70mに棲んでいるカレイは、地上の残暑など知る由もありません。
今までのところどんなに残暑が厳しくても、産卵時期が近付くと体内時計のようなものに作用され、浅場へとやって来るのです。
もちろん、浅い場所にやってきて水温が高ければ多少の戸惑いは感じるでしょうが。
まだ秋は外気温が高いので、ダイワのメッシュ半袖シャツでカレイ釣り。
(この年もまだ暑いので、ダイワのメッシュシャツとサンダルでカレイ釣り)
このように少々残暑厳しくてもカレイは釣れます。
もちろん、年末近くのおなかぱんぱんになるには、もう少し時間がかかりますが。
冬場によく耳にする話として、「急に寒くなったから、魚の食いが悪くなるのでは?」というのがあります。
いえいえ、気温が下がったからと言って、そんなにすぐ魚の食いが悪くなるほど海水温が下がることはありません。
例えば、投げ込んだ仕掛けを巻き上げた時、握ったオモリが暖かく感じるなどはそのいい例です。
広島湾のように、太田川などの大きな河川の流れ込みがある場所や、数日間冷えた上に大風で海が波立ってしまうと、混ぜっ返されてかなり海水温も下がるとは思いますが。
(こんな浅い海で、数日間荒れる日が続くと、海水は混ぜ合わさって、よそよりは海水温は早く下がるでしょうね)
特に春先など、大規模河川に雪解け水が大量に流れ込んだりすると、やはり影響は出てきます。
やがて寒い1月2月となると、冷たい雨などの流れ込みで、かなり海水温は下がってきます。
水温が12度をきると、シロギスは食いが悪くなり、深場や水温の変化の少ない場所に移動します。
10度を切って一桁代の水温になると、あまりエサを摂らなくなると思われます。
(週刊釣りサンデー別冊【キスのすべて】によると、「キスの低温致死限界について調べた記録は見当たらないが、この魚の分布北限や同じ分布域をもつ魚類のデータから推測すると4~5度あたりだろう」と書かれています)
今から30年以上前の瀬戸内(私の釣りエリア)では、冬場にシロギスを狙うなんてことはなかったし、釣れるとしてもカレイ釣りの置き竿にマグレで掛かるくらいでした。
しかし、瀬戸内海の冬季海水温の上昇により、冬場でも10度以上になりエサを摂るようになりました。
(最近の瀬戸内、たまり場を見つければ真冬でもこのとおり)
以前は、30㌢オーバーのいわゆる尺ギスの釣れる、九州・四国・山陰のキスに比べ、瀬戸内のキスはせいぜい25~26㌢くらいの大きさがあれば「鉄砲ギス」と呼ばれていました。
九州・四国・山陰のキスに比べて、瀬戸内のキスが「短命」という訳はありません。
同じ「年数」を生きても、エサを摂る期間が短いから成長に違いがあったわけです。
(これは反対に冬が盛期のカレイにも言え、北に行くほどエサを摂る期間が長いので、瀬戸内に比べ大きくなります)
今から30年くらい前のこと、山口県防府市沖の野島で、28㌢のキスが釣れたと聞き、目玉が飛び出るほど驚いたことを、今でも鮮明に覚えています。
ここ数十年、冬場でもエサを摂り始めたおかげで、瀬戸内でも30㌢オーバーのキスが姿を見せ始めました。
ところで、冬ギス狙いにおいて「海水温を計って・・・・・」という人がいると聞きました。
どこの海水温を計っているのでしょう?
シンカーに装着できる水温計を付けて、キスの潜んでいる場所まで投げるならともかく、水際で水温を測って、それで沖合の水深6~10mにいる冬ギスの居つき場を判断するには相当無理があるような・・・・・。
夏場など、波打ち際で水温を計って、沖合い2~3mの水深にいるキスを狙うなら別ですが。
さてさて八十八夜を過ぎ、5月初めに山陰の砂浜でキスの引き釣りをしていたら、近所のおばちゃんが「キスは朝早く来て釣らにゃぁダメよ」と言って、スタスタと砂浜を歩いていきました。
おばちゃんのご説ごもっとも、確かに盛期のキスなら早朝、夕まず目に軍配が上がります。
しかし、早春のキスを砂浜で釣る場合は陽が当たった方が活性が上がるような気がします。
(春の山陰の砂浜は、陽が昇ってからが期待できます)
(GWに釣れたキス、なんだかまだ水温が低くて動きが鈍そう・・・・・・)
次回はエサについて書いてみましょう。